せかいとことば

世界は言葉によってつくられているし世界は絶えず言葉を生み出しているし。雑多な文章をつらつらと。

呼吸をするように

わたしはけっこう自分の父親のことを格好いいなと思っていたりすることがあって(格好悪いところもたくさんあるが)、そのうちの一つがどんなときでも必ず仕事が終わって家に帰ったらビールを飲むところ。それって別によくあることじゃないの、と思うかもしれないけど、その一貫性がすごい。どんなときでも必ず飲む。

わたしが一番感動したのは出張で帰りが遅くなったとき、普段は17時ごろには家に帰ってくるのだがたまに出張に行くときがあった。その日は夜更かししていて、そうしたら夜中の3時ごろに父親が帰ってきた。まだ起きていたのかという驚いたような顔をしながら、ただいまと言って服を着替え、ビニール袋から缶ビールを一本取り出し、コップになみなみと注ぎ、流し込むように飲み干した。すぐに一缶を飲み終えると吸い込まれるように寝室へと向かって行った。

 

しかし考えてみるとわたしにも同じようなところがあって、どんなときでも家に帰ったら寝る前に必ず何かしらの音楽を聴く。ちゃんとしたオーディオで。iPodなんかではなく。

音楽をかけて、一息つくということがどういうわけか必要なのだ。なので、家に帰ってすぐに寝るということはなかなかできないので、そのような時間を見越して早めに帰ることが必要になってしまう。どうしても時間がないときは、止むを得ず音楽をかけながら寝る。

 

そういった日課というか、おまじないというか、なんというかよく分からないけど続けてしまっていることって誰にでもあると思う。そういうものには、それ自体意味がないように思えても思わぬところで安らぎを与えてくれているのかもしれないし、そういった儀式を大切にしなくちゃいけないと思うよ。

今日は充分早めに家に帰ったのに、聴きたいと思っていた音楽、Soft Machine のやけにベースの音圧が高いデビュー前の音源集、それを聴くのをずっと忘れていたのでこんな時間になって思い出したように聴く。このCDが終わる前にワインを飲み終えて歯を磨き眠りにつけたらすばらしいのだがそれは難しそうである。