せかいとことば

世界は言葉によってつくられているし世界は絶えず言葉を生み出しているし。雑多な文章をつらつらと。

それは生きているという感覚

 登校中にいきなり走り出す小学生、そんなに急いでいるようでもないのに楽しそうに走り出す彼や彼女たちは、生きることへの喜びを、そのありあまる生命の力を抑えきれずに走り出すのだということをあの人はいつか教えてくれたっけ、わたしはもう22歳で、わたしにもきっとそんなときがあったのだなあと言ったら、あなたは笑って「きみは今でもそんな感じじゃない」と言っていたけれど、違うんだ、わたしだって今でも走ったりする、特に意味なんてなく、でもそれは走ろうと思って走るのであって、体からあふれる感情を抑えきれなくなって走り出してしまうなんて、そんなことはもうずっとなかったし、これからもそんなことは訪れないんだなあと思ったんだ、そんなことを考えたらなんだか悲しくなってしまって、そんなことで悲しんでいるなんて知られたらまたあなたに馬鹿にされるだろうなあと思って顔には出さなかったけれどね、でもそのあとあなたと走ってみたりしてそれはそれで楽しかったんだ、楽しかったような気がした、息切れした夜は肌寒かったような気もするし、もうわたしは小学生じゃないんだ、なんて当たり前のことを気づかされて悲しくなったりもしたし、なんて、馬鹿な話。ふいに思い出したりして。