せかいとことば

世界は言葉によってつくられているし世界は絶えず言葉を生み出しているし。雑多な文章をつらつらと。

記憶のトリガーは引こうと思っても引けない

 ぜんぶ好きだよ。きみも、きみも、きみも。ぜんぶ好きなんだ。わたしの好きなぜんぶが、そのぜんぶがわたしの好きなままでずっといられたらいいのに。いてくれたらいいのになあって思うんだけど、それでもやっぱり変わってしまうものだったりするんだ。好きなんだ、けど、好きなだけじゃあやっていられなかったりして。ああ、好きなものに囲まれて、好きなことだけしていたいな。うまくいかない。うまくいかないんだ。
 ちょっとした希望、こうだったらいいなあ、ということをノートにさりげなく書いたきみ。ずっとその気持ちを持っていて。これからどんなにつらいことがあっても、そのことを忘れないでいて。わたしは、きみに何か大切なものをあげられるだなんて、そんな大それたことは考えちゃいないよ、でも、その気持ちをずっと忘れないでいて。お願い。そしたら、きみはきっと幸せになれるよ。きみがいつか大人になって、そんなことを思っていたなあと、思い出してくれたらいいんだ。辛くなったとき、ふと、そんなことを思い出してくれたらいいんだ。なあんて。
 久しぶりにウィスキーを飲んで、久しぶりの酔いだった。あのころ、灰だらけの机の横、布団の中でうだうだと考えていたことがふたたび身体の中に戻ってきたようなそんな感じだったんだ。