せかいとことば

世界は言葉によってつくられているし世界は絶えず言葉を生み出しているし。雑多な文章をつらつらと。

好奇心で発電する機能

 っていうかこれは現実、なのかもはやわからない、駅の構内ではおっさんが楽しそうな表情を浮かべ倒れ、無線機を胸に装着したこれまたおっさんが笑いながらそれをサポート、近くに立つ兄ちゃんがそれを心配そうに眺めており、それ以外の人民はまったくもって無関心、というより本当は関心があるのだけどそれを隠しているがゆえになんとも不穏な空気が充満している、駅。駅だった。どんよりと。
 あ、そうだ、わたしは急いでいたんだった、風景の一部として同化する前にわたしは急いでいた、急いでいるわたし。なので急ごうとして走ろうとするも走っている人はいない、ここでわたしが走ったら注目を浴びる、周囲の人民がわたしをちらちらと眺める、どうしてわたしを見るんだ、ああそうか、それはわたしに関心があるということであってそれは優しさ、なのかもしれないけどそれは少し違う気もするけれどとにかく走るのは疲れる、なので走るとも歩くとも言えない、その中間というか見方によっては走ってる、または早歩き、みたいな、アンケートをとったら走っていると答える人と早歩きしていると答える人とが半々になるくらいのペースでずっと、駅を駆け抜けた、改札を出てからこんな調子でまた次の改札へとICカードをタッチするのであった。
 なんていうか、ダメだ、どうしてこんなことをしないといけないのだろう、どうして改札が二つあるのだろう。おかしくね? 二つの改札。入って、出てと考えたら四つの改札。往復で八つの改札。ぐはあ。もっと言えばどうして家の玄関を出たらすぐ目的地につながっていないのだろう、ドアトゥードアというのは本来瞬間的なものであるべきであって、扉を開いたらそこに目的の世界が広がっているべきなのだ、しかし基本的に、この世の中は欠陥だらけであってそんな中に生を受けた完全なる個体、わたし、は今日も大変な思いをする羽目になるのだ。