せかいとことば

世界は言葉によってつくられているし世界は絶えず言葉を生み出しているし。雑多な文章をつらつらと。

ひかりが差し込んでそれが眼球の裏側にまで届くころ

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たぶん、何もないところにぽつんと自転車を置くのはすこし勇気のいることなんだと思う。壁の横とか、木の横とかじゃなくって、何もないところに。だからみんな、自転車のとなりに自転車をとめて、そのまたとなりに自転車がとまっていって。

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見上げると雲があった。雲は二度とは同じかたちを現さないのだろう、はかない、とか思ったけれど実は十年くらいの間隔で、また同じかたちの雲が場所を変えて、現れてるのかもしれないとも思った。
どちらの方がいいだろうか、と思った。でもどちらも確かめようのないことだし、じっさいのところはどちらでも問題がないような気がした。

公園の芝に寝転ぶわたしをベンチに座る老夫婦がみている。正確には公園、じゃなくて大学なんだけれど、それはどうでもいいこと。後ろでは歩く人たちの話し声と足音が聞こえる。たまに、顔に小さな虫たちがついてきてくすぐったい。

また今年も冬になるんだな、と思った。冬になると虫や小さな動物たちはどうしているんだろうか。草木は枯れてしまうけど、また春になると同じように、いやそれはけっして同じかたちを現さないのだろうけど、もどってくるのはどうしてだろう。

気づくとお尻が濡れていた。芝に隠れた土はどこも暗い色をして湿っていて、手にとってみるとまだすこしだけ夏の匂いがした。