せかいとことば

世界は言葉によってつくられているし世界は絶えず言葉を生み出しているし。雑多な文章をつらつらと。

君は地中に眠るセミを見たことがあるか

諸行無常の響きあり。諸行無常の響きで目を覚ました。糞暑い。ある夏の日のこと、わたしのまわり、には諸行無常なセミたちが、これでもかというくらいの轟音を。セミは強い。どれだけうるさかろうが、どこかに苦情を入れられ、駆除されるということもない。その点、セミはそのうるささを彼らの個性、セミたらしめる特性、として受け入れられているのだろう。そうでなくては、たまらない。

しかし、わたしがそのあたりの駅前で同じように喚き続けていたとする、と、たちまち排除されてしまうのはなぜだろう。わたしは、セミとは違うということか、セミとは何が違う、色も、形も違うけれど。

彼ら、というのはセミたち、は健気なもので、7年間、種類によっては17年間も、地中に住み、2週間ほど地上に出て、鳴きまくり、死ぬ。いやそれを奇異と思うのはこれまた人間たち、であって、彼らからしたらわたしたちの方がよっぽど特異であろう。四六時中はたらき続ける、のはなんのため、と聞かれたらセミも、わたしらも同じように思える。別に、セミが偉いとか、人間が偉いとかはないと思うけど、セミを劣ったものとかみるのは、わたしが許さない。いや、セミにそこまで肩入れするのは、何か違うのだけど、まぁそういうこと。